25年前の越谷の風景。
のどかな田園風景が広がり、ビルや住宅街がない空はどこまでも広かった。
2008年に日本最大級といわれる「越谷レイクタウン」がオープンして以降、街全体を盛り立てるように越谷市の開発は急ピッチで進められた。住宅街にコンビニエンスストア、駅前の商業施設。瞬く間に、子育て世代にとって住みやすい地域へと変化を遂げた。
「25年前は、なんにも無かったんですよ」
ラ・コート・エストのパティシエ、辻明子さんはやさしく笑ってそう話す。越谷の目まぐるしい発展と共に、町のケーキ屋さんを大切に守り続けてきた辻明子さんに、ラ・コート・エストの昔と今をお伺いしてきました。
大行列ができたオープン当初のラ・コート・エスト
目にも鮮やかなケーキはフルーツがふんだんに飾られ、デコレーションにもこだわりが見られる。
20代は「パティシエ」とは無縁の職業に就いていたと話す、辻さん。
結婚相手がパティシエで、お2人の夢であったケーキ屋を出すことが25年前に実現しました。お店を出してから、初めてお菓子作りに取り組んだそう。他店で修行を重ねてきたご主人から習いながら、お菓子作りのノウハウを学びました。
ーーケーキ屋さんで働くことになり、他店で修行をされたりということはありましたか?
辻さん:主人は何件も修行で回った末に、今の店をオープンしました。
私は、他の店舗で修行をした経験はなく、ラ・コート・エスト専従です。すべて、主人から教わりました。
ーーそれでは、オープン当初の様子を伺ってもよろしいですか?
辻さん:オープンしたばかりのときには、SNSなど何も無かったんです。
だから、新聞の折り込みチラシを入れてお店を宣伝しました。そのおかげか、オープン当初はお店の前に長い長い行列ができました。オープンしたのが25年前なんですが、周りに建物がほとんどなかったから、新しくできたお店が目立っていたのかもしれません。
お土産にも喜ばれる、華やかなルックスのケーキ達がショーケースに並ぶ
ーー越谷レイクタウンが建ってから、越谷は急速に開発が進んだという話は聞いています
辻さん:レイクタウンが建ってからは、目まぐるしく周りが変わりました。
ここらへんは、サンクスと本屋さんくらいしかなくって、あとは大きな駐車場だけでした。このあたりには、ケーキ屋さんもありませんでした。オープン当初は想像していたよりも、お客様が沢山いらっしゃって下さった印象でした。
テナントでオープンして6年半くらい経っていましたが、徐々にお客様もついてくださるようになったので、あまり離れない距離でこのお店を建てることにしたんです。25年間、地元の人に支えて頂いていることを実感しています。
ーーケーキの仕込みは大変かと思うんですが、大体何時頃から仕込みをされているんですか?
辻さん:オーナーが一番早くて、朝の7時くらいからケーキの仕込みを始めています。
10時にお店はオープンするんですが、10時にはこの時間(16時)ほどはケーキは並んでいないんです。ケーキをショーケースに並び終えるのが、11時30分頃になります。
ーー材料の仕入れなどもオーナーさんが行われているのでしょうか?
辻さん:仕入れ業者が入ってくれているので、業者さんが市場に行ってくれて仕入れたものを都内から配達してきてくれるんです。少しお値段は張るんですが、自分たちで仕入れに行っているとケーキが作れなくなってしまうので……(笑)
女性に関係するイベントで大忙しになるのがケーキ屋さん
小さなお子様も喜びそうなカラフルな店内。種類豊富な焼き菓子が店内を彩る。
ーーお客様は1日で何人くらいいらっしゃるのでしょうか?
辻さん:波もありますが、平均すると1日で30人くらいです。
イベントごとがあると、何百人と来店される日もあります。クリスマスや母の日、ひな祭りやバレンタインなどのイベントの時もそうです。入学式や卒業式などのお祝い事があるときにも、かなりの人数のお客様がいらっしゃってくれます。
女性に関係するイベント(ひな祭り・母の日など)ごとのときには、お客様が増えるなと実感しています。母の日はかなりお客様が多いんですけど、父の日はあんまりお客様は増えないです(笑)
ーーそれでは、クリスマスのような一大イベントのときには、従業員さんの人数を増やして対応されるのでしょうか?
辻さん:クリスマスには日替わりで来てくださっているパートさん達には、全員に出勤して頂いています。OBさん達にも声を掛けて、スタッフ総出でクリスマスは対応しています。
お客様の推薦で「越谷愛されグルメ認証商品」に認定されていた!
焼き菓子は、ハチミツのポット型やバス型などに入れて可愛くラッピングできるのが魅力
ーー他のサイトでも拝見して気になったのが「越谷愛されグルメ認証商品」にラ・コート・エストさんの「とろ~りとろける生ブリュレ」が選ばれていたのですが、そちらの商品がラ・コート・エストさんのイチ押し商品になるのでしょうか?
辻さん:3〜
当店唯一の冷凍販売となっており、ホール
15年来の想いを胸に来店してくださるお客様も
生菓子のほかにも、焼き菓子の種類も豊富で目移りしてしまう
ーーブリュレ以外では、辻さん自身が一番お好きなラ・コート・エストさんの商品はありますか?
辻さん:私は「リンゴのバトン」という焼き菓子が一番好きなんです。
棒状の焼き菓子にリンゴとシナモンが効いていて、美味しいんです。ちょっと大人向けのお菓子です。
可愛らしいラッピングの「リンゴのバトン」。しっかりとシナモンが効いていて、紅茶によく合うスイーツです。
ーーそれでは、お客様との思い出深いエピソードなどはありますか?
辻さん:日々嬉しいことはあるんですが、ちょうど今日、とても嬉しいことがありました。
15歳になる息子さんがいらっしゃるお客様で、15年間息子さんのお誕生日のたびにラ・コート・エストにケーキを買いに来たかったそうなんです。でも、うちの駐車場は車が少し停めづらいんです。
目の前に縦列2台で停められるんですが、とても大きな車に乗っていらっしゃったそうで、車が入れづらいからと断念して通り過ぎていたそうです。でも15年目にして、車を買い替えたそうなんです。それで、今日初めて来てくださって「すみません、来るのに15年もかかっちゃいました」って言ってくださったんです!
ケーキはやっぱりハレの日に選ばれるものですから、日々お客様からそういった話が聞かれて嬉しく思っています。
あとは、イラスト入りのデコレーションケーキをご注文されたお客様では、「ケーキをご確認ください」とお見せするときに「うわあーーー!!」って喜んでくださるんです。その反応を見ていると、こちらも幸せになれます。
お客様から、幸せをたくさん頂いています。
ラッピングをするためのカラフルなリボンが壁一面を埋め尽くす
ーー昨年からコロナ禍となっていますが、お店で苦労されているところなどはありますか?
辻さん:皆さん、やはり外出を自粛しているためか、夜18時以降はもう人通りがほとんどなくなってしまうんです。
駅前通りだから、以前だったら18時以降でもお客様はいらっしゃっていたんですが……今は、ほとんど来られません。だから、本来は20時まで営業しているんですが、今は時短営業にして18時30分までにしているんです。時々試しに開けていてみるんですが、やはり18時30分以降はお客様はいらっしゃいません。
ーーサラリーマンの方達は帰り道に家族にケーキをお土産に買っていくイメージがありますが、皆さん直帰されている様子でしょうか?
辻さん:サラリーマンの方達も、サクサクとお家に帰られている印象です。
日中はあんまり以前とお客様の入りは変わらないんですが、夜の時間帯はうちの店も影響を受けています。
スイーツだけではなく、可愛らしいクマさんのマスコットも店内に並ぶ
ーー今後、ラ・コート・エストさんが挑戦していきたいことはありますか?
辻さん:今後は、お客様の笑顔が更に増えるような新商品の開発に力を入れて
ーー最後の質問になりますが、お客様へのメッセージなどはありますか?
辻さん:いつもご愛顧いただき、ありがとうござ
素材の良さを最大限に活かして、フルーツをふんだんに使っ
メモ
~編集後記~
実際にケーキを購入させて頂きましたが、どのデコレーションも可愛らしく、箱を開けたときに我が家の子ども達(2歳・6歳)からも「うわー!!」と歓声が上がっていました。1つひとつのケーキに「お客様に喜んでもらいたい」という思いが詰まっているように感じて、25年間愛され続けてきた理由がやさしい味から伝わってくるようでした。
チェックリスト
- 店名:ラ・コート・エスト
- お問合せ・予約:048-965-1699
- 住所:埼玉県越谷市東大沢5-1-28
- 定休日:火曜日
- 営業時間:10:00~18:30(通常は20:00まで営業ですが、感染症対策のため現在は時短営業を行っています)
(文・写真:小春**)